Web 2.0 Expoレポート(1)

24、25日とサンフランシスコで開催されたWeb 2.0 Expoに行ってきた。

今年のWeb2.0Expoは、予想通り、昨年より大幅に盛り下がっている。世の中的にも、「もうWeb2.0は終わりね」という雰囲気が蔓延しているのはご承知のとおり。初日のキーノートで、Tim O’Reilly自身が、いろいろしゃべったあとで「それでもWeb2.0は終わりだと思うか?」と反語的に問いかけたことが、それを如実に反映している。


上記事が言う通り去年に比べて盛り下がった感は否めないが、今後台頭してきそうなサービスや技術、流行を垣間見ることができた。数回に分けて振り返ってみるが、今回はネットで入手できる情報。


スライド

いくつかのセッションのスライドがダウンロードできる。そのオープン性に少し感動。"PPT"で検索かけるとすぐ見つかる。

O'Reillyで公開されていないスライドも閲覧できる。



日本語レポート

日本語でのレポートもアップされている。

メディアテクノロジーラボ:

Webは更にオープンに

インテルがクライアントサイドでウェブサイトを自分の好みに編集するブラウザ拡張ツールをリリースした。

 Intelは、ウェブ全体を編集可能にしたいと考えている。ウィキペディアの1ページのように。


個人的にはとても可能性を感じるツール。既にFirefox Extensionにも登場していた気がするが、サイト内のテキスト情報をハイライトした情報を保存なども実装されるのだろう。


Tim BernersがWorld Wide Webの構想をあげたとき、ウェブサイトは誰もが編集できるようにデザインされていたらしい。彼の構想が当時ではオープンすぎた一部しか採用されなかったというが、時代がそれにどんどん追いついてきたと実感させられる。セマンテックWebも彼が手がけているものだし、ウェブサイト自体がオープンになる日も遠くない気がする。

slide.comのマーケティング

口コミなどで製品やサービスが広まることをバイラルマーケティングといって、近年注目を集めている。

Facebookでも絶大な人気を集めているslide.comについて、以下のエントリーが面白かった。

Slide.comの強みは何か?という点が興味深い。 単にスライドショーを作成できるツールは山ほどがあるが、Slideの強みはそのマネジメント手法にあるということだ。 Paypalで培ったバイラルマーケティング方法論を活用しているといっていた。バイラルといっていうのは簡単だが、実際行うのが難しい。 科学的にアプローチをしている。 スライドショーのテンプレートもどれが人気か?とか徹底的に分析しているようだ。

最初の疑問は、こういった分析がアメリカ国外も対象として行われているのかということ。slide.comはアメリカだけじゃなくて世界中で使用されている。また、クライアントサイド(「こちら側」)のメモリやCPUなどのスペックはどの程度を上限として開発しているのだろう。

Rockyouもそうだけど、こういった「飛び道具」的なウェブパーツは、ユーザーのブログやSNSページそのものがデモだから、とてつもない伝染力を持っているのだと思う。国際的なバイラルマーケティングの見本として、とても見習うものがあるので、機会があればまた掘り下げてみていきたい。

オープン志向の再認識

Silicon Valleyで会うGeekは皆クラウドソースについて熱く語る。彼らは時代がオープン志向に向かっていることを心から喜んでいて、その話となると目を輝かせて熱く語る。そこに対するビジネスチャンスとかには一切触れずに。

最近の話題の中心はやっぱりAndroidiPhone、そしてRails。ただ、自分の周りではPure Geekはモバイルにそこまで興味を示さない。WAPが貧弱なのとインフラが遅れているのが原因のよう。それでも昔に比べて注目度は上がってるなと感じる。一方、ビジネス寄りのGeekはモバイルの可能性に魅せられている。Smartphoneを多用している彼らだからこそ感じるものがあるのだろう。

エンジニアがいるからWebが良くなる。そんな彼らを惹き付けるのがオープン・テクノロジーであるのだから、「閉ざされた技術」をもつ会社が流行らないのも理解できるし、MicrosoftAdobeオープンソースに注力している理由もよく分かる。こういう面でみると、自分みたいな人間から見てもWebは間違いなくいい方向に向かっていると改めて実感する。

近年のWebトレンドのメモ

Web 2.0 Expoがもう少しで開催される。木曜、金曜はモバイル関係のトピックもあるので、ぜひ顔を出したい。去年のように色々と印象深い話が聞けると思うので、開催前の現段階で頭にある技術トレンドや気になる点を簡単に書いておこうと思う。


RIA


「飛び道具」


Mash Up


モバイル (インフラ)

  • LTEの勢力が増してきている
  • 中国のように4Gへ「飛び級」する地域もあり
  • エンタープライズでの普及が先の様子 (日本では10代への普及が鍵だった)
  • 欧米で10代の手に届くようになるのはいつ?


モバイル(ハード)


モバイル (ソフト)

モバイルWebサービスの近未来

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20080410/1000781/

を読んで、モバイルWebサービスの今後について考えてみた。


中島さんの「おもてなしの経済学」の中でも触れられているが、様々なPCデスクトップアプリがWebサービス(ソフトウェア)化している。FlexAjaxの普及がこの動きを更に加速させている。Flex ShowcaseではFlexで構築されたWebサービスを紹介しているのだけど、本当に色々あってびっくりした。オフィス系はもちろん、画像編集からUMLモデル、ウィジェット作成まで、オンラインで無料で利用できる。


無料Webサービスの流れは間違いなくモバイルにも押し寄せてきているが、本格的な普及にはまだ時間がかかりそう。現状だと、各キャリアに対応しつつリッチインターフェースを持つWebサービスを作るにはFlash Liteを利用する以外にないし、そのFlash Liteにも色々制限がある。HSDPAなど高速モバイル通信の普及にもあと少し時間がかかるみたい。


次にモバイルWebエクスペリエンスに大変化が起こるのは現在のPC向けWebサービスに匹敵するものが携帯上に現れてる頃で、時期的には早くても2009年半ばか2010年頃になるのでは、と個人的には見ている。その頃にはスーパー3Gが普及していて、インターフェース構築技術にも進展がみられているはず。AndroidFlash Homeの台頭、ブラウザを取り巻く状況も大きく変化している頃じゃないかと勝手に推測しているがどうなるだろう。


その前にiphoneが与える色々な面で衝撃を与えるのだろうし、各キャリアとメーカーの対応が気になる。

Flash Liteを利用したビジネス〜B2B編

Flash Liteは間違いなくMobile Web Experienceに革新をもたらしたと思う。


モバイルWebでリッチインターフェースを実現するためには各キャリアが異なるブラウザを使用していて、現状ではブラウザ依存のあるAjaxはほとんど利用されていない。そのためFlash Liteがモバイル向けリッチインターフェースを構築する主役となっている。


日本では95%以上の携帯端末がFlash Liteを搭載していることもあって、他国では見られないFlash Lite関連の面白いビジネスモデルが誕生している。


まず、Flash Liteを使用してWebインターフェースとを構築しているサービス。各キャリアの公式サイトでも利用されているが、自分の中では、ナンバーポータビリティ開始あたりに誕生したEC Real Readerが先駆けてFlash LiteのWebインターフェースとしての可能性を示した。このあたりからFlash LiteのWebでの利用が急速に普及しだしたと感じている。


一番企業が注目しているのはFlash生成サービス。ECサイトが主なターゲットで、Flash Liteに関連したB2Bでは一番の激戦区と思われる。Flash Lite形式で商品ページなどを生成することで、ユーザーは商品画像を動的に拡大、縮小できるようになる。有償サービスのみ確認できた。


主なプレイヤーは、


個人的な予想では、

  • 楽天Amazonなども近いうちこういった技術を導入し、モバイルコマースが更に浸透していく。
  • 有料で差別化ができなくなり、無償提供する会社が出てくる。
  • ECサイトの大半がリッチインターフェースで構築される。
  • 国外でも同じビジネスモデルが普及する。


日テレでFlash広告が展開されたりなど、他にも色々なビジネスモデルが登場してきそうです。Flash Liteは欧州でも相当普及しているはずなのだけど、どうやって利用されてるのだろう。