RockyouやSlideに学ぶウィジェットサービス運営戦略

SlideとRockYouはブログやFacebookなどのSNSで圧倒的な人気を誇るウィジェットサービス(参考:RockYou、Slideを押しのけてFacebookアプリのトップに滑り込む - TechCrunch)。

後発ながらRockYouのSlideを追撃する勢いもすごいし、2004年という時期に写真スライドウィジェットのポテンシャルに注目したMax Levchin(Slide.comの創設者)も尊敬している。ユーザーが欲しがっているもの(需要)をよく理解した上でサービスを開発するのが一番大事だけれど、その他にも色々と認識、考慮しておくべきことがいっぱいあると思う。勉強も含めて、サービスを開発、展開する上で学べる点を、Web2.0Expoのセッションの内容も混ぜて振り返ってみる。


チャンネルを増やす

RockYouもSlideもメインは写真スライドショーのウィジェットだけど、他にも様々なウィジェットを提供している。例えばSlideではYouTubeのSkinを変更できるSkinFlixというアプリを提供しているし、RockYouでは友だちと写真やメモ書きをウィジェット上で共有できるCorkboardも注目されている。両社とも他にも色々なウィジェットを提供している。写真スライドショー以外にも、自己表現を助けるウィジェットを色々な形で提供することで多岐にわたるニーズに応えることができて、結果として利用者数の向上につながる。


様々なプラットフォームで提供

FacebookMySpaceだけでなく、他のSNSにも幅広く対応する。
下の画像ははWeb2.0 ExpoでのRockYouのセッションで使用されたプレゼンスライドの1枚。

ソーシャルメディアのアクセスが全体として急激に伸びているが、FacebookMySpace以外のSNSも急激にアクセスを伸ばしているのが分かる。これは地域によって利用されているSNSが違うため。以下が他のSNSの特徴。

  • Hi5: スペイン語圏が中心
  • Bebo: イギリスではMySpaceよりもアクセスがある
  • Orkut: ブラジル、インドで人気

ブログや有名SNSに対応するのはもちろん最優先事項だが、他のSNSに対しても対応していくことで更に多くのユーザーに使ってもらえるようになる。


英語でも提供する

日本以外の国ではほぼ英語が通じる。極端な言い方をすると、英語でサービスを提供すれば世界中のユーザーに使ってもらえることになる。世界の人口は66億人で、その中で日本は1億人。極端に言うと、英語でサービスを提供するだけで何十倍ものユーザーに使ってもらえるかもしれないと可能性が広がる。


とにかくシンプルに

開発者は思いついたクールなアイディア全てを実装したくなる。しかし一般ユーザーはその一部しか使わないし、むしろ機能が色々ありすぎて息が詰まってしまう。インターフェースがよくできていれば全然問題ないけれど、なかなか難しい。まずメインユーザーの使い勝手を重視して作って、その後機能を追加していくのがベター。


まずリリース

これはウィジェットだけでなくウェブサービス全般に言えることだと思うだが、まずリリースしてユーザーの反応を見る。RockYouのCo-founderのJia ShenもIntrudersのインタビューで、「最初の2週間で作ってリリースしてみたら次の2週間で大ヒットした」と語っている。ビジネスプランをいくら完璧に作っても、ユーザーが集まらなかったら意味がない。逆にいうとユーザーに使ってもらえそうなものが作れたら集客や収益化など気にしないでとりあえずリリースしてみるといい、ということ。文化や個人の性格の違いなどもあるから、日本にそのまま持ち込んではいけないという人もいるだろうけれど、一つずつ大事なものから進めていくという意味では、リリース優先型は理に適っていると思う。