id:takuya514さんとお会いした

知り合ったきっかけは、はてなダイアリーを見て僕がメールしたこと。その後シリコンバレーに1ヶ月ほど勉強で来られるということなので、昨日都内で食事に行った。

Takuya(id:takuya514)くんは学歴に見向きもせず、個人の力だけを信じて、Super Activeに行動している。話さないでも雰囲気からそう感じることのできる人だった。そういう生き方が僕も大好きで、初対面な感じが全くせずに時間を忘れて話すことができた。

これが梅田さん(id:umedamochio)の言う「志向性の共同体」なのか。シリコンバレーでの再会が今から楽しみだ。


Takuyaくんとの共通点の一つに、梅田望夫さん(id:umedamochio)さんから多大な影響を受けていることがある。僕の場合は、梅田さんの著書「ウェブ進化論」が転換期を迎える大きなきっかけになった。

2003年、日本の大学を中退してニューヨークに移った。大学で専攻のビジネスの勉強に刺激を受けながら、プログラミングなどの「ウェブリテラシー」習得や、日本の携帯ユーザーに向けたサイトの企画、開発に夢中になったりしていた。一方で、同世代が就職で豹変する姿や日本の政治状況などを見て疑問と違和感を覚え始めた。

2006年5月、ウェブ進化論を読んだ。インターネットは民主主義を進展させる、個人のポテンシャルを無限にする。ウェブ進化論が示したその革命的大変化に衝撃を受け、興奮は数日間続き、寝付けず何度も読了した。そして数日後、震源地でどこまで突っ走れるのか試したい、大変化を起こす側にいたいという強い気持ちが湧き出てきて、シリコンバレーの大学に移ることを即座に決めた。そして志を少しでも実現するために動き続けている。まだまだ達成にはほど遠く全く満足していないが、少しずつ近づいている感触はある。

坂本龍馬勝海舟から衝撃を受けた時も、桂小五郎西郷隆盛と日本を語り合った時もこんな感じだったのかな。
幕末が好きな自分としてはついついそう考えてしまうが、志向性の共同体が個人へもたらす無限の可能性を肌で感じることができて刺激になった。
今後もそういう志向性を共有できる人との出会いには貪欲になっていきたい。

アスリートに見る意志力の重要性

一時帰国中の日本から久しぶりの更新。
運良くサッカーW杯予選に男子バレー五輪予選とスポーツ盛りの時期。
今までとは別人のように闘志をむき出しにして挑み、周囲の不安を一掃する結果を残している。


サッカーでは、2日にオマーン戦に快勝。リードしていることを忘れさせるハングリーな猛攻を最後まで切らさなかった。
男子バレーでは、イタリア戦でまさかの惨敗を喫したが、韓国、オーストラリア戦では苦しい局面でもしっかり踏ん張り切って勝利をもぎ取った。選手の闘志を全面に出したその姿勢にバレーを見ない自分は釘付けにさせられた。


何かを成し遂げるためには技術、経験だけでは足りない。
何が何でも達成してやるという泥臭さ、執念が必要なのだと選手達が改めて示してくれている。
彼らの苦しいところで発揮されるその強靭な意志力を見習いたい。

オープンデータ時代の個人の生き方:サービスクリエイターとしての大きな可能性

最近FreebaseというサービスのAPIを触ってみた。Freebaseはオープンなデータベース。ユーザーが映画や人物などのデータをFreebaseに投稿、編集して、蓄積されたデータを共有することができる(参照:あらゆるデータを詰め込んだデータベース「Freebase」)。


「あちら側」にデータを保存することに慣れて大分経つけれど、データが第三者に提供されるシステムが整備されてきた。Freebaseのようなサービスを触ってみると、自分でデータベースを持たないでもサービスが作れるようになったことは、改めてもの凄いことだと感じる。ビジネスにおいても個人の生活においても、データを持つ者はいかに解放(共有)するか、持たざる者はいかに活用するか、が現在のようなオープンな時代には大事になってくるのだと思う。


今ではYouTubeFlickrなどに蓄積されているデータを誰でも活用できる。誰かが投稿した動画や画像に対するコメントや関連するコンテンツなどを、PHPなどのプログラミング言語を使えば簡単に取得できる。このデータのオープン化をうまく利用すれば、個人がYouTube上にある動画を活用して新しいサービスを開発することもできるし(例:TimeTube)、オープンデータベースを利用して面白いものを作ることだってできる。(例:Cinespin)。


YouTubeFlickrなどのサービスプロバイダーはこれからもウェブサイトのユーザビリティの向上や小さな機能も少しずつ追加を行っていくだろうけれど、彼らは新サービスの開発よりも、蓄積するデータの量、質、種類を増やし、その蓄積されたデータを第三者が自由に利用できるようにAPIを充実させることに注力していくのだと思う。

実際にいくつかのサービスの動きを見てみると、全体としてサービスプロバイダーからデータプロバイダーへと重点がシフトし始めているのが分かる。YouTubeでは新しいバージョンのAPIを3月にリリースしてて、YouTubeの外からでも動画をアップロードできるようにするなど機能を強化した。写真共有サービス大手のFlickr開発者用サイトを4月に立ち上げてAPIをアピールしているし、Yahoo!Web2.0 ExpoのKeynoteオープン戦略を発表していた。他にPhotobucketやVeohなどオンラインでデータを教習するサービスの多くは同じような動きをみせていて、自社のサービス上に蓄積されたデータのオープン化と、それを第三者に活用してもらうためのシステムとドキュメンテーションの充実に努めている。


こうやって「あちら側」のデータがオープンになったことで、誰でも色々なサービスを開発できるようになった。データを所有することで生じるコスト(主にハードウェア)も削減できるし、個人では到底収集不可能な量のデータを活用して全く新しいサービスを作ることもできる。もちろんサービスの開発には相変わらず様々な知識が必要だけど、サービス開発の敷居が低くなっているのは間違いない。サービスを提供する「場所」が自社のPC用ウェブサイトから個人のブログやSNSやモバイルへと拡大していることも、この個人のサービスクリエイター化の波を後押している。その一方で、更に大事になってきているのが、どういったサービスを作るかという「アイディア」と実行する力。ただ、新しいことを社内でやらせてくれる会社は少ないみたいなので、個人または小規模のグループにサービスクリエイターとして躍進するチャンスが広がっているのだと思う。


梅田望夫さんは著書「ウェブ時代をゆく」で、「『新しい職業』は予め定義することはできず、新しい世界に飛び込んで、手さぐりで当事者が作っていくような性格のものである」とし、その「新しい職業」は時代の変化と共に生まれると言っている。僕は、「時代の変化」であるデータのオープン化は、持たざる者である個人をエンパワーして、「新しい職業」の一つであるサービスクリエイターとしての生き方に大きな可能性をもたらすのだと信じている。

RockyouやSlideに学ぶウィジェットサービス運営戦略

SlideとRockYouはブログやFacebookなどのSNSで圧倒的な人気を誇るウィジェットサービス(参考:RockYou、Slideを押しのけてFacebookアプリのトップに滑り込む - TechCrunch)。

後発ながらRockYouのSlideを追撃する勢いもすごいし、2004年という時期に写真スライドウィジェットのポテンシャルに注目したMax Levchin(Slide.comの創設者)も尊敬している。ユーザーが欲しがっているもの(需要)をよく理解した上でサービスを開発するのが一番大事だけれど、その他にも色々と認識、考慮しておくべきことがいっぱいあると思う。勉強も含めて、サービスを開発、展開する上で学べる点を、Web2.0Expoのセッションの内容も混ぜて振り返ってみる。


チャンネルを増やす

RockYouもSlideもメインは写真スライドショーのウィジェットだけど、他にも様々なウィジェットを提供している。例えばSlideではYouTubeのSkinを変更できるSkinFlixというアプリを提供しているし、RockYouでは友だちと写真やメモ書きをウィジェット上で共有できるCorkboardも注目されている。両社とも他にも色々なウィジェットを提供している。写真スライドショー以外にも、自己表現を助けるウィジェットを色々な形で提供することで多岐にわたるニーズに応えることができて、結果として利用者数の向上につながる。


様々なプラットフォームで提供

FacebookMySpaceだけでなく、他のSNSにも幅広く対応する。
下の画像ははWeb2.0 ExpoでのRockYouのセッションで使用されたプレゼンスライドの1枚。

ソーシャルメディアのアクセスが全体として急激に伸びているが、FacebookMySpace以外のSNSも急激にアクセスを伸ばしているのが分かる。これは地域によって利用されているSNSが違うため。以下が他のSNSの特徴。

  • Hi5: スペイン語圏が中心
  • Bebo: イギリスではMySpaceよりもアクセスがある
  • Orkut: ブラジル、インドで人気

ブログや有名SNSに対応するのはもちろん最優先事項だが、他のSNSに対しても対応していくことで更に多くのユーザーに使ってもらえるようになる。


英語でも提供する

日本以外の国ではほぼ英語が通じる。極端な言い方をすると、英語でサービスを提供すれば世界中のユーザーに使ってもらえることになる。世界の人口は66億人で、その中で日本は1億人。極端に言うと、英語でサービスを提供するだけで何十倍ものユーザーに使ってもらえるかもしれないと可能性が広がる。


とにかくシンプルに

開発者は思いついたクールなアイディア全てを実装したくなる。しかし一般ユーザーはその一部しか使わないし、むしろ機能が色々ありすぎて息が詰まってしまう。インターフェースがよくできていれば全然問題ないけれど、なかなか難しい。まずメインユーザーの使い勝手を重視して作って、その後機能を追加していくのがベター。


まずリリース

これはウィジェットだけでなくウェブサービス全般に言えることだと思うだが、まずリリースしてユーザーの反応を見る。RockYouのCo-founderのJia ShenもIntrudersのインタビューで、「最初の2週間で作ってリリースしてみたら次の2週間で大ヒットした」と語っている。ビジネスプランをいくら完璧に作っても、ユーザーが集まらなかったら意味がない。逆にいうとユーザーに使ってもらえそうなものが作れたら集客や収益化など気にしないでとりあえずリリースしてみるといい、ということ。文化や個人の性格の違いなどもあるから、日本にそのまま持ち込んではいけないという人もいるだろうけれど、一つずつ大事なものから進めていくという意味では、リリース優先型は理に適っていると思う。

iPhone大浸透は2年以内に起こりそう

iPhoneが大幅な値下げをするかもしれないらしい。

3G版「iPhone」が6月に発売された場合、AT&Tは199ドルで販売する予定だ、とFortuneが伝えている。


もしこれが本当であれば、携帯を買い替えるスパンの2年以内に圧倒的な数のユーザーがiPhoneを持つことになる。年齢に関係なく、世界中で。デザイン重視の若者も、Blackberryを愛用してきたビジネスパーソンも。


2年後といったら世界主要国で3Gもしくは4Gが本格的に普及し始めているはず。そして現在905シリーズを使っている日本のユーザーやモトローラ端末を使用している10代の買い替えも今年、来年には確実に大きく動くはず(もう動いている感じもあるけれど)。考えればモバイル業界では色々なものが2年前後で次の段階へ移行する。


開発者は今のように対応キャリアや絵文字、ブラウザー依存などに悩まずにでっかい市場にサービスを投入できるようになる。本当に素晴らしいこと。Androidまわりもヒートアップしてきて期待できるが、iPhoneの2010年までのインパクトに比べたらたいしたことないんだろうなと感じる。


サービスプロバイダーの視点からみると、ネイティブにするかウェブにするかだが、こればかりは用途次第になりそう。ただ、Adobe AIRFirefoxのPrismのような両方に対応したものが台頭してきそう。


ようやく本当のモバイルビッグバンの様相が見えてきた気がする。

Web 2.0 Expo レポート(2): Sprout

Expoの中でも最も存在感を示していたSprout。

SproutはFlash用のブラウザベースのWYSIWYGエディタで、そのインターフェースはPhotoshopDreamweaverを彷彿とさせる。デザイナーはこれを使ってFlashウィジェット、ウェブサイト、マッシュアップの作成、公開、トラックができるので、時間とお金がかかる上に満足のいくデザインを実行できないかもしれないプログラマーと仕事をする必要がない。

展示場でもプレゼンでも一際注目を集めていた。去年のDEMO Conferenceで発表され、とても印象に残ったハワイ発のサービス。


Sproutのプレゼンテーションでは技術的な点にも触れられていたので、ギークな人のために簡易メモ。

  • Flexを使用してインターフェースを構築している
  • デザインにはCSSを多用
  • XMLでデータ管理
  • メインファイルの読み込みサイズは50KB。インターフェース構築要素をコンポーネントに細分化してロードしている

ウィジェットの意義

サンフランシスコで開催されたWeb2.0Expoにてウィジェット関連の印象深い話がいくつかあって、Rockyou、Slide、Sproutの3社が特に目を引いた。


僕の中ではウィジェットとは「ユーザーが情報発信(=自己表現)するためのサービス/ツール」。今回のExpoでSlide CEOのMax Levchinも言っていたが、ウィジェットとは決して流行で終わるものではなくて、間違いなくウェブを良くする技術である。


5年前の2003年を振り返ると、一般ユーザーは情報発信の場さえ持っていなかった。当時彼らはメールのチェックと検索エンジンでの簡単な調べごとくらいしかインターネットを活用しておらず、ホームページを立ち上げたり日記をウェブで公開するにはhtmlやFTP転送といった技術を覚える必要があった。ウェブ上での情報発信は、手の届かない特権技術だった。


その後、SNSやブログなどユーザーが技術的な知識一切なしに情報発信できる場所(=プラットフォーム)が次々に生まれ、ウェブ上での情報発信は携帯でメールで打つのと同じくらい簡単なものになった。つまり、情報発信の大衆化が起こった。
今後モバイルウェブなどのバーチャルな世界とリアルな世界で更にプラットフォームが確立され、ユーザーの自己表現の場が広がっていくのは間違いない。


プラットフォームが整備された今、ユーザーは「どうやって発信するか」から「何を発信するか」、つまり自己表現の種類・方法が大事になってきてる。その自己表現の選択肢(choice)を、ウィジェットは無限にする。自分の写真をSlide.comでスライドショーにしたり、気になる動画をブログに貼付けたり。個人の自己表現が多彩になる手助けをしているウィジェットがなくなるとは僕には想像できない。むしろ、NetvibeのTariq Krimが「全ての情報はウィジェット化される」とセッションで言ってように、更に色々なものがウィジェット化されて、個人メディアの大衆化を加速させるのだと思う。