ウィジェットの意義

サンフランシスコで開催されたWeb2.0Expoにてウィジェット関連の印象深い話がいくつかあって、Rockyou、Slide、Sproutの3社が特に目を引いた。


僕の中ではウィジェットとは「ユーザーが情報発信(=自己表現)するためのサービス/ツール」。今回のExpoでSlide CEOのMax Levchinも言っていたが、ウィジェットとは決して流行で終わるものではなくて、間違いなくウェブを良くする技術である。


5年前の2003年を振り返ると、一般ユーザーは情報発信の場さえ持っていなかった。当時彼らはメールのチェックと検索エンジンでの簡単な調べごとくらいしかインターネットを活用しておらず、ホームページを立ち上げたり日記をウェブで公開するにはhtmlやFTP転送といった技術を覚える必要があった。ウェブ上での情報発信は、手の届かない特権技術だった。


その後、SNSやブログなどユーザーが技術的な知識一切なしに情報発信できる場所(=プラットフォーム)が次々に生まれ、ウェブ上での情報発信は携帯でメールで打つのと同じくらい簡単なものになった。つまり、情報発信の大衆化が起こった。
今後モバイルウェブなどのバーチャルな世界とリアルな世界で更にプラットフォームが確立され、ユーザーの自己表現の場が広がっていくのは間違いない。


プラットフォームが整備された今、ユーザーは「どうやって発信するか」から「何を発信するか」、つまり自己表現の種類・方法が大事になってきてる。その自己表現の選択肢(choice)を、ウィジェットは無限にする。自分の写真をSlide.comでスライドショーにしたり、気になる動画をブログに貼付けたり。個人の自己表現が多彩になる手助けをしているウィジェットがなくなるとは僕には想像できない。むしろ、NetvibeのTariq Krimが「全ての情報はウィジェット化される」とセッションで言ってように、更に色々なものがウィジェット化されて、個人メディアの大衆化を加速させるのだと思う。